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<ライブレポート>ものんくる無観客配信ライヴ「この4か月間、ずっとライヴをしたくてたまらなかった」ラストナンバーに込めた熱い想い

2020.07.10

ジャズを基軸にした独自のサウンドに詩情豊かな日本語詞をミックスした、吉田沙良と角田隆太からなるソングライティング・デュオ、ものんくる。無観客配信ライブ『J-WAVE主催 ものんくる LIVE FROM NIHONMONO LOUNGE』を7月8日に開催。当日は、サポートメンバーに、小川翔(Guitar) / 西田修大(Guitar)/ Kuro(Cho)の3人を加えて披露した。その模様のライブレポートを独占公開!

ものんくるが約4か月ぶりに戻ってきた。2月末のイベント出演以来、コロナ禍によって軒並み出演するライヴやフェスが延期または中止となり、活動を制限されていた彼らだが、無観客配信ライヴという新しい形でファンの前に登場した。

今回のライヴは、J-WAVEの音楽エンタテイメント支援プロジェクト「#音楽を止めるな」の一環として行われたもので、JR高輪ゲートウェイ駅前にオープンする「J-WAVE NIHONMONO LOUNGE」を会場に設定。19時になると会場にセッティングされたキャンドルが映し出され、おもむろにライヴがスタートした。


冒頭は2018年にリリースした4作目のアルバム『RELOADING CITY』のタイトル曲。たおやかなグルーヴのイントロに重なるようにして、オンステージのメンバーが浮かび上がる。中央にはスツールに腰かけたヴォーカルの吉田沙良。向かって右手には、ベースを抱えた角田隆太。そして、ギターの小川翔と西田修大、コーラスのKuro(TAMTAM)というお馴染みのサポートメンバー3人を含むバンド編成がステージに並ぶ。この曲は、打ち込みを主体としたリズムがクールだが、中盤のエモーショナルな歌と演奏で一気にヒートアップし、早くも山場を迎える。配信であることを忘れそうなほど、臨場感を味わえる演奏だ。


吉田が「こんばんは、ものんくるです」と一言挨拶をしてすぐに2曲目の「アポロ」が始まった。ポルノグラフィティの大ヒット曲をカヴァーした飛び道具といってもいい一曲だ。しかし、ヒップホップ風にアレンジされたこの曲は、完全にものんくるのオリジナルになっており、ライヴでも非常に盛り上がる。しょっぱなにキャッチ—な楽曲を持ってきた構成によって、一気に引き込まれた。

「この4か月間、ずっとライヴをしたくてたまらなかった。新しい形ですが、できるのが本当に嬉しいです」という吉田のMCの後に披露されたのは、この季節にぴったりの「夕立」。変拍子の複雑なリズムながらも、アコースティックギターを交えたバンドサウンドが、夏のひとときを演出してくれる。いつしか吉田もスタンディング・スタイルで情感たっぷりに歌い上げていた。

一転して、角田が奏でるしっとりとしたエレクトリックピアノの響きに導かれて披露されたのは、サード・アルバム『世界はここにしかないって上手に言って』に収録の「空想飛行」。ライヴならではの新しいアレンジで、この曲の世界観がさらにスケールアップしていたように感じられた。

ここで少し長めのMCが挟まれる。自粛期間中に新曲を作ったという話が脱線し、吉田が韓国ドラマにはまっていたというネタを交えつつ、彼らのキャラクターが伝わるエピソードを披露。そして、角田の「この状況からインスピレーションを受けて作った曲を、初めてバンドでやります」という言葉を受けて、新曲「音の鳴るあいだ」が始まる。ワンルームを舞台に夜のひとときを描いた歌は、ものんくるの真骨頂といえる切なく寂しいバラード。ステージの背景に映し出されたイラストの世界観とマッチして、独特の演出で新曲に酔いしれた。

配信ライヴではコメントが見られるということで、吉田がタブレットをのぞき込みながらいくつかのコメントを紹介していく。こういった様子も、配信ライヴならでの風景だ。そして、「今日は時間があまりないので全部はできないけれど、なかでも好きな曲をお届けします」といって始まったのが「魔法がとけたなら」。真夏のライヴに、雪の日をテーマにした楽曲を演奏するというのに少し驚かされたが、冬には無事にライヴが行える状況になっていればいいというメッセージが込められていたのかもしれない。いずれにせよ彼らのレパートリーの中でも屈指の名曲をしっとりと歌い上げ、後半のクライマックスとなった。

そして、力強いビートに乗せて、吉田は「また必ずライブハウスで会える日を願っています。音楽最高!」と語った後に始まったのが、この日のラストナンバーとなる「ここにしかないって言って」。サビで「HOT CV」のフレーズを盛り込むというマッシュアップ・スタイルのアレンジがユニークだ。さらにスペシャルなことに、後半では今回披露できなかった楽曲も含めて、ワンフレーズずつメドレー形式で代表曲を挿入。「アポロ」、「スーパールーパー」、「SUNNYSIDE」、「最終列車 君を乗せて」と立て続けに聞こえてくる様子に、ずっとライヴに行けなかったファンなら、きっと大喝采だったはずだ。そして、このスペシャルなメドレーには、ライヴを大切にして活動してきたものんくるの二人の熱い想いが込められているように感じられた。

45分ほどの短い時間ながらも、濃厚なライヴを披露したものんくる。あくまでも今回はゴールではなく最初の第一歩でしかない。アフター・コロナの世界にどのように対応していくのかは、まだまだ未知数だ。しかし、新曲まで披露した今回のライヴを観る限り、彼らの未来は決して悲観する必要はないだろう。新しい時代にどのようにして、ものんくるの音楽を響かせていくのか。今後の彼らの活動に期待したい。

取材・文=栗本斉
写真=木原隆裕

ものんくる LIVE FROM J-WAVE NIHONMONO LOUNGE

吉田沙良(Vocal) / 角田隆太(Bass)
Support Musicians 小川翔(Guitar) / 西田修大(Guitar)/ Kuro(Cho)

【視聴期間】
7月12日(日) 23:59まで視聴可能

【チケット】

チケット購入URL:https://eplus.jp/mononkul-s/
▼販売期間
2020年7月4日(土)正午〜2020年7月12日(日) 22:00まで
▼アーカイブ配信
生配信終了およそ30分後〜2020年7月12日(日) 23:59まで視聴可能

配信に関するお問い合わせ:Streaming+(イープラス) https://eplus.jp/streamingplus-userguide/

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