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<ライブレポート>原点である3ピース編成での2回目の配信ライブ、藤巻亮太「THANK YOU aLIVE 2020 ~The Music Runners~」

2020.09.04

藤巻亮太の2回目となる配信ライブ「THANK YOU aLIVE〜The Music Runners〜」が9月3日に開催された。前回、7月の配信ライブ「ON YOUR LIVE 2020」はピアノとバイオリンと共にアコースティック編成で行なったが、今回は御供信弘(Ba)と片山タカズミ(Dr)を迎え、藤巻もエレキギターを持ち歌う3ピースのバンド編成。彼の原点と言えるスタイルであり、また、この編成でのライブは今年初ということで、とてもプレミアムな一夜になりそうだ。

スタートした映像にまず映し出されたのは、藤巻のバックショット。カメラはステージへと向かう背中を追いかける。ステージに上がり、メンバーと軽く挨拶をするとギターを手にとる。1曲目は何か。画面越しではあるが、この時間を共有する観客と固唾をのんで見守る、心地よい緊張感が走る。そして、印象的なリフと共にはじまったのは「粉雪」だ。何度も演奏されてきている曲だが、改めてこうして3ピースバンドで奏でられる「粉雪」は格別で、じっとりと暑い晩夏の景色をも変えてくれそうだ。そしてエフェクティヴなギターにベース、ドラムが絡み迫力を増していく「五月雨」へと、アンサンブルの熱を上げていく。ソロとなってからの曲「日日是好日」も3人のアレンジで、軽やかさを増している。《今日はいい日だな》。このシンプルな歌詞のフレーズが現在の状況のなかで、とても大事に、そして輝きを増して聞こえてくるものとなっていたのが印象深い。

「観てくださっているみなさん、藤巻亮太です」と改めて挨拶とメンバー紹介をし、手にとったギブソンのレスポールを見ながら、アコギも大好きだが今日はバンドでエレキギターを弾けていることが嬉しいと語る藤巻。このギターは中学3年のときに、奥田民生さんが弾いているのを見て買った思い入れのあるものだという。学生時代によく使っていたが、自分で改造をしてしまい使わなくなっていたのだとか。そして今年、そんな思い入れのある一本を「Mt.FUJIMAKI 2020」で民生さんと一緒に弾きたいと直してもらったのだと語った。「残念ながら今年はコロナの影響で、苦渋の決断でしたがMt.FUJIMAKIは中止になりました。楽しみにしてくれていた人には申し訳ない思いでいっぱいですが、今日はその思いもこのレスポールにぶつけようと思います」と前向きな笑顔を覗かせる。そして「いろんなことがありますけど、大変な時こそ深呼吸でもしてマイペースに、目の前のできることを一生懸命やっていこうと思います」と告げ、そのレスポールを鳴らし「深呼吸」へとつなげた。ふくよかなギターの音色とメロウなメロディがよく似合う。ややハスキーな藤巻のヴォーカルと御供のコーラスが紡ぐハーモニーもまた心地よい余韻をもたらし、続く「マスターキー」は片山のコーラスも加わった3人の声のアンサンブルも歌の奥行きを広げていく。エモーショナルな「もっと遠くへ」では、ソリッドなバンドの演奏が歌の浸透力をあげた。心に深く染みわたるブロックだ。

中盤のMCでは届いている観客からのコメントに触れる。「リズム隊、最高ですってきてるよ」「セトリ最高ですだって」とメンバーと笑顔を交わし、「これスタッフさんが僕を励ますために打ってるわけじゃないですよね」と配信ライブならではの冗談も飛び出す。画面越しではあるが観客とフレンドリーなやりとりをしながらライブを進めていく。そしてここからは、ステージとフロアがぶつかり合うリアルなライブ同様の熱量のある曲を連投。爽快な風を巻き起こすような「南風」、そこからバンドが唸りをあげ「花になれたら」へと続く。メロディとリズムの両方を担うベースと、バンドのでかいエンジンとなって躍動するドラムに、ボリュームが一気に上がった感覚すら覚え、音の圧を肌に感じる。さらに温度が上がったのは「雨上がり」だ。バンド時代から長く愛されている「雨上がり」は、やはりこの3人という編成の馬力あるアンサンブルで最もその威力を発揮する。

その「雨上がり」の感慨に浸りながら、また力強く心を震わせてくれたのが、今回のライブが初披露となった「Heroes」だ。「ウルトラマンクロニクルZERO&GEED」の主題歌として書き下ろされ、今年1月にリリースとなったこの曲。ここまでのライブが中止や延期になるなど披露する機会がなく、満を持してこのライブでの初演奏となった。藤巻曰く「ヒーローのために曲を作るのは初めてで、プレッシャーだったんです。こういう気持ちが荒みそうな時代に、頑張ってる一人ひとりを称えあえたらいいなという思いで作った」だけに、今だからこその思いものったより熱い曲として聴かせてくれた。そして続くのは、藤巻の母校・山梨県立笛吹高等学校の生徒たちに向けて書き下ろされ、昨年の主催フェス「Mt.FUJIMAKI 2019」で披露された「オウエン歌」だ。この3ピースバンド編成では初めての披露となる。藤巻から若者へ向け、大事に言葉をおいていくようなヴォーカルが胸に迫る。そして最後に演奏されたのが、「3月9日」だ。

「本当は3月9日に予定していた『THANK YOU LIVE』ができずに、延期となっています。それとはちがう形で感謝の気持ちを伝えられたらと今回の配信ライブをすることになりました」と、改めて今日9月3日の配信ライブに至った思いを語った藤巻。「今は、会いたい人に会えないという人も多いかもしれません。大事な人を思い浮かべながら聴いていただけたらと思います」と語ると、ギターをつま弾きじっくりと歌を紡いでいく。たっぷりとしたアンサンブルに乗せて、伸びやかなヴォーカルが心を包む1曲となった。

アンコールでは「太陽の下」のほか、初披露となった新曲「裸のOh Summer」や、バンドアレンジでの披露は初となる「サヨナラ花束」と、ファンにはたまらない贅沢な選曲で最後の最後まで盛り上げた藤巻亮太。現在はレコーディングの最中だと言うが、そちらも“いい感触しかないので楽しみに待っていてほしい”と、ここからの期待も滲ませて疾走感と熱量に溢れた最高のライブを締めくくった。

Photo by RYO HIGUCHI
Text:吉羽さおり

●藤巻亮太「THANK YOU aLIVE 2020 ~The Music Runners~」公演概要
日時:9月3日(木) 19:30 配信スタート (約90分予定)
※9月8日(火)23:59までアーカイブあり
チケット代金:一般 3,900円/FCチケット3,900円(FC限定特典「パンフレット」付き)
チケット販売期間:8月17日(月)12:00~9月8日(火)21:00
チケット購入URL:https://w.pia.jp/t/fujimakiryota-pls/
主催:FRM/サンライズマネージメント
後援:SPEEDSTAR RECORDS
制作:LIVE LOVERS / ワイズコネクション
問合せ: サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日12:00-15:00)

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