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ヴァイオリニスト・NAOTOの比類なき20年をポルノ、大黒摩季、清塚信也ら盟友が祝福──アニバーサリーライブ「SERENDIPITY」東京公演をレポート

2025.08.31

NAOTO 20th Anniversary LiveSERENDIPITY」 2025.8.15 東京国際フォーラム・ホールA

ヴァイオリニスト・NAOTOのソロデビュー20周年アニバーサリーライブ「SERENDIPITY」東京公演が、815()に東京国際フォーラム・ホールAで行われた。

藝大卒でクラシックにルーツを持ちながら、早くからポップスやロックのフィールドに踏み込んで様々なアーティストと共演。同時に劇伴等の作曲家としての顔も持ち、さらにはソロアーティストとしてはインストゥルメンタルに歌心やサビ感満載のポップミュージック的手法を取り入れるなど、あまりに稀有な彼のミュージシャン人生を象徴するライブは、まずソロ作品の演奏からスタートした。

バンマスの松本圭司(Key)、⽥中義⼈(Gt)、伊藤ハルトシ(Gt/Vc)、⼭⽥章典(Ba)、齋藤たかし(Dr)、⼤⾕舞(Vn)が上下2段のフォーメーションに並び、その中央にNAOTOが立つ。歌こそ歌わない(コーラスはするが)ものの、立場や立ち居振る舞いは完全にフロントマンのそれ。ロックやポップス、フュージョンなど多様な音楽のハイブリッドサウンドを展開しながら、歌メロに相当するパートもリフもソロもガンガン弾いていくのはもちろん、ステップを踏んだり虚空を蹴り上げたりとアクション面まで余念がない。冒頭から勢いも華も満載のステージに、満員の場内からはたくさんの拳が突き上がる。

冒頭のブロックを終えたところでステージ両サイドのスクリーンにジングルが流れ、最初のゲスト・清塚信也の登場が告げられた。この後もずっとそうだったが、その1分に満たないジングルの間に素早く転換が行われ、ゲストが登場してすぐに演奏がスタートするため、ライブの流れが全く停滞することなく進行していたのは特筆に値する。ライブ前半には清塚をはじめ、押尾コータロー、DEPAPEPEというソリスト/インストゥルメンタリストとしてNAOTOと交友を深め鎬を削り合ってきた盟友たちが登場。ともにクラシックにルーツを持つ清塚とは、極端な減加速や動きの面でもアドリヴ要素満載のセッション的な「チャルダッシュ」などで魅せるとともに、軽妙なトークとディス合戦(?)でも大いに楽しませてくれた。

NAOTOの演奏スタイルに大きな影響を与えたという押尾との「Big Blue Ocean」では、指板やボディをタップすることでパーカッション要素を取り込んだリズミカルなプレイを披露。DEPAPEPEはポップスのフォーマット上で歌を楽器に置き換える手法の面でも、「One」のコーラスなど積極的にオーディエンスの参加を促すライブ運びの面でも、NAOTOとの高い親和性を発揮した。なお、DEPAPEPEはデビュー年がNAOTOと同じでありライブ翌日には彼らの20周年ライブにNAOTOが出演することから、丹念にプロモーションするという微笑ましい一幕もあった。また、一切アナウンスされていなかったシークレットゲストとして、押尾とのライブに世良公則が現れて「燃えろいい女」をセッション。パワーコードのバッキングに徹する押尾というレアな瞬間を見られた上、雄々しく迫力満点な世良のボーカルを喰らえば、場内は当然大いに盛り上がる。

中盤には、NAOTOがソロ活動とほぼ同じだけの期間、劇判を担当し続けているTEAM NACSの面々がVTRで登場。同い年である大泉洋らから弄られたりもしつつ、NAOTOの楽曲が彼らの作品に欠かせないピースであることを伝える映像に続いては、実際にライブでNACS作品へ提供した楽曲たちを披露。バラードあり、ダンスミュージックあり、ファンクやジャズ要素ありと、それぞれの物語や流れるシーンに則した造りとなっているだけでなく、時代ごとのトレンドも踏まえたコンポーザーとしての鋭敏なセンスも味わえた。

ライブ後半のゲストは大黒摩季とポルノグラフィティ。NAOTOがまだバックストリングスの一員であった頃に出会い「摩季姐」と慕う大黒と、東日本大震災の後に福島・須賀川の学校へ贈った応援歌「希望のうた~カワセミのように~」制作時に作詞を依頼した際のエピソードでは、ともにロケハンに赴いたりもしたこと、そのオファー自体が当時活動休止中だった大黒にとってとても嬉しいものだったことなどが明かされた。そして穏やかさの中に希望の力を秘めたバラードソングを、1番のメロディラインをNAOTOが演奏し2番は大黒が歌うスタイルで届けると、大黒の豊かな中低音と凛としたハイトーンが広大なホール内に響き渡った。

ポルノグラフィティのライブが爆発的な盛り上がりとなったのはおそらく、ポルノの人気や知名度だけでなく、NAOTOがほぼバンドメンバーの一員としてツアーを回っていた時期が長い、いわばファミリー的存在だからという側面も大きいだろう。リハのスタイルの違いにカルチャーショックを受けたり、ヴァイオリンの登場しない曲でも盛り上げ役を担ったり──。異なるフィールドを股にかけ繋いでいく現在のNAOTOの活動は、ポルノと過ごした日々無くしては有り得なかったものだ。誰もが知る名曲「サウダージ」に「ミュージック・アワー」、この曲をきっかけに体得したという二胡の演奏が披露された「うたかた」、そして観客たちが総ジャンプ状態でフォーラムを揺るがした「幸せについて本気出して考えてみた」と、たっぷり4曲を演奏してくれた。

終盤には再びNAOTOのソロ曲を、ほぼノンストップで演奏していく流れ。客席間の通路を練り歩きながらのプレイや、観客を4パートに分けたアカペラのハモリコーナー、松本、伊藤、大谷がNAOTOと縦並びになっての某ダンスグループのオマージュ風アクションなど、抜群のプレイスキルとエンタメ性の両輪で楽しませる時間が続く。ここまでで既に約3時間、演奏し続けアクションし続け喋り続けてきたNAOTOからは、「当面の目標として、60歳までこういうライブをちゃんとできるように頑張っていきたいと思ってます」という頼もしい宣言も飛び出した。この日で52歳の誕生日を迎えたとは思えないバイタリティは、まだまだこれからも発揮されていきそうだ。

アンコールではポルノグラフィティを呼び込んで「アゲハ蝶」、さらに大黒も加わって「ら・ら・ら」を演奏。大黒と岡野昭仁がデュエットでハーモニーを重ね、ギターソロを新藤晴一が弾く。《今日も明日もNAOTOに逢いたい》と歌詞を変え、観客たちが盛大なシンガロング。なんて贅沢で幸せなひと時なんだろう。その後、清塚と押尾、DEPAPEPEとともにもう一曲披露してライブは大団円。と思いきや、流れ出した「ハッピー・バースデー」の調べとともに台車に乗ったケーキを運んできたのは、なんと世良公則だ。最後の最後まで観る者を楽しませ笑顔にするエンターテイナー精神に貫かれた一日。それは、NAOTOが歩んできた無比のキャリアの証明であった。

取材・文=風間大洋


なお、10月31日(金)にはこの日の模様がWOWOWで放送される事が決定。まさにアニバーサリーに相応しい特別な瞬間の連続をお見逃しなく。
そして、9月には地元・関西に帰って神戸国際会館での『SERENDIPITY』が控えている。東京公演とはガラリと構成を変え、神戸はNAOTOの真骨頂とも言えるインストゥルメント・アーティストのみで構成。東京公演に出演した清塚信也、押尾コータロー、DEPAPEPEに加え、本田雅人、TOKU、→Pia-no-jaC←が参加する。普段では観る事が出来ないさまざまなコラボレーションを予定しており、チケットは現在発売中となっている。

NAOTO 20th Anniversary Live「SERENDIPITY」放送予定
【放送チャンネル】WOWOWライブ
【放送日】1031日(金)午後8:00

NAOTO 20th Anniversary Live「SERENDIPITY」神戸公演

【公演日時】2025年9⽉12⽇(⾦) 開場:18:00 開演:19:00
【会場】神⼾国際会館 こくさいホール
【GUEST】本田雅人/清塚信也/押尾コータロー/TOKU/DEPAPEPE/→Pia-no-jaC←
【特設サイト】https://naoto20th.com/

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