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【短期集中連載コラム#4】『中津川ソーラー』ってどんなフェス? 個性と”観たい”を両立したラインナップ

2023.08.26

9月23日(土)・24日(日)の2日間、岐阜県中津川公園内特設ステージで開催される『中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2023』(以下、中津川ソーラー)。本番までいよいよ1ヶ月を切ったこのタイミングで、フェスにとって最も重要な「どんなアーティストが出るの?」という部分について書いていく。

音楽フェスが乱立する時代にあって、『中津川ソーラー』が10年以上にわたって存続し、規模も拡大してきた要因の一つに、出演アーティストの顔ぶれの独自性があると思う。単に人気者を集めまくっているわけではない。かといって特定のジャンルや世代にフォーカスして集客を狙うでもない。若手からベテランまで、知る人ぞ知る存在からJ-POPシーンの中心でチャートを賑わせてきた大物まで、そのラインナップは実に幅広い。過去には、加藤登紀子や八代亜紀、小坂忠といったレジェンドが登場したり、仲井戸”CHABO”麗市やCharによるギタープレイに存分に浸ることができたり、かと思えば四星球やヤバTのようにお祭り騒ぎを巻き起こせる存在もいたり、RIZEやHEY-SMITHなどパンク勢によって広大なフィールドがライブハウスと化したり。それらの楽しみ方を一つのフェスで味わえるなんて、そうそうない。

このフェスの場合、「再生可能エネルギーでフェスをやろう」という基本理念がまず存在するので、そこに呼応するアーティストたちが出演している、という前提はある。ただ、実際に現地でライブを観ればわかることとして、個々の出演者がそこまでメッセージ性を押し出したライブをしているわけではない。あくまでそれぞれがそれぞれのスタイルでステージに上がり、参加者もそれを自由に楽しめるのだ。つまり、根幹となる精神性は掲げつつもそこにフォーカスしすぎることなく、純粋に良い音楽を作り良いライブをしているアーティストたちを垣根なく広く呼ぶことで、あらゆる属性の参加者に楽しんでほしい、というマインドがこのラインナップに繋がっているということだろう。

さて、今年の顔ぶれをあらためて振り返ってみたい。つい先日タイムテーブルも発表されていたが、今年は全3ステージ(夜間のVillage Of illusionを除く)での開催となる。最大キャパのRevolutionステージは、初日のトリが10-FEET、2日目の大トリがストレイテナー。いずれも中津川ソーラーにはこれまで毎年のように出演し、数々の名シーンを生んできたバンドである。某映画のテーマが大ヒットとなった10-FEETは、昨年、自身のライブだけではなくTAKUMAが布袋寅泰のライブで「Dreamin’」をセッションしたのも記憶に新しい。ストレイテナーがRevolutionステージでトリを務めるのはこれが初めて。……と書きながら意外な気もしているのだが(オンラインだった2021年の大トリは経験済み)、それくらい『中津川ソーラー』ではお馴染みかつ名演を重ねてきたバンド。今年は結成25周年/デビュー20周年のアニバーサリーということで満を侍しての大役である。

清春、DURAN、PLECTRUM、FIVE NEW OLDなど初登場組も見逃せない。中でも、ROCK’N’ROLL GYPSIESは超がつく大ベテランながらこれが初登場。花田裕之、下山淳、池端潤二というザ・ルースターズのオリジナルメンバー3名に、POTSHOTやジュンスカのサポートでも知られるベーシスト・市川勝也という、ある程度年季の入ったロックリスナーなら「うぉぉ…」と声の出てしまうような布陣で初日のRESPECTステージのトリを務める。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTはじめ、数々のロックンロールバンドに影響を与えまくってきた面々によるバンドだから、若い層にもぜひ触れてみてほしい。

真心ブラザーズと奥田民生によるバンド・地球三兄弟も、個々には出演歴があるものの、この形態では初登場。奥田民生に関しては、翌日にも「奥田民生 Solar Session」として出演するのだが、その名の通りさまざまなアーティストとの共演が用意されていそうで期待十分である。他にもOriginal Loveがバンドとしては初登場となるほか、FLYING KIDSや吉川晃司など数十年単位で活躍し続けるベテラン勢が躍動するのも『中津川ソーラー』ならでは。なお、吉川晃司のライブでギターを弾くのは生形真一なので、24日はNothing’s Carved In Stoneと吉川晃司、2本のライブで生形のギターを堪能することができる。

若手に目を向けても、昨年に続いての登場となるBREIMENやリーガルリリー、Omoinotakeあたりの『中津川ソーラー』のカラーともマッチしたバンドが目につくし、他にもACIDMANやサンボマスターといったヘッドライナー経験者をはじめ、OAUやa flood of circleらお馴染みの面々、andropやGLIM SPAKY、Nulbarich、NakamuraEmiなど常連となりつつある面々もいる。

さらに、2020年に来日予定だったもののコロナ禍で配信のみの出演となった、台湾のインストバンド・Major in Body Bearがついに登場。ジャムバンド好きはチェック必須だ。弦楽四重奏とピアノによる演奏でロックナンバーを再現するROCKIN’QUARTETは5人のボーカリストを迎え、史上2度目のフェス出演(初回もここでした)を果たす。こういう、他のフェスでは滅多に観ることのできない、だからこそ「観ておきたい!」と思わされるアーティストも揃っているのも大きな魅力。”出会い”もフェスの役割の大事な一つなので、その点でもいろんなタイプの出演者がいるのはありがたい。

そして、タイムテーブル発表のタイミングで驚かされたのは、河村隆一の出演だった。河村は2日目のRESPECTステージでシアターブルックのライブにゲスト出演するとのことだが、はっきり言って、どのような化学反応が起きるのか全く想像がつかない。観るしかない。なお、シアターブルックのフロントマンであり『中津川ソーラー』のオーガナイザー・佐藤タイジは毎年さまざまな形態で登場し、阿波踊りと融合したライブを披露した年まであったり、他アーティストのライブにも現れてセッションしたりと、大車輪の活躍ぶり。今年はシアターブルックのほかにKenKenとのユニット・ComplianSとしても名を連ねているが、たぶん他にも出る。

ほかにも挙げればキリがないほど、今年も見どころはいっぱいである。ステージごとのライブ開始時間が重なっていたりもするが、『中津川ソーラー』は会場がコンパクトかつ動線も優秀なので、仮にお目当てが被ってしまっても嘆くことなかれ。「なんとか両方観るぞ」という前提で動けば、ハシゴも可能だ。タイムテーブルとにらめっこしながら、理想の動きをシミュレーションするも良し、当日のフィーリングで気の向くまま楽しむも良し。いずれにせよ、個性豊かで多彩な出演者による極上の音楽たちと、会場に充満する自由な空気を満喫できることは約束されている。

文=風間大洋 写真=『中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019』公式より

中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2023
日 程:2023年9月23日(土)・24日(日)開場:10:00 / 開演:11:00 (予定)
会 場:岐阜県中津川公園内特設ステージ(岐阜県中津川市茄子川1683-797)

出 演:
9月23日(土)
androp / BREIMEN / Caravan / 地球三兄弟(YO-KING / 桜井秀俊 / 奥田民生) / DURAN / HEY-SMITH / HY / 韻シスト / いとうせいこう is the poet / JUN SKY WALKER(S) / 清春 / Major in Body Bear (from台湾) / NakamuraEmi / OAU / PLECTRUM / ROCKIN’ QUARTET(大木伸夫/ホリエアツシ/村松拓/TOSHI-LOW/内澤崇仁) / ROCK’N’ROLL GYPSIES(花田裕之 / 下山淳 / 池畑潤二 / 市川勝也) / SOIL&“PIMP”SESSIONS / 10-FEET / 打首獄門同好会 / うじきつよし / ヤバイTシャツ屋さん
【Village Of illusion】ermhoi / Kaoru Inoue / DJ KENTARO / 武藤昭平 with ウエノコウジ / OBRIGARRD / Rei / TOMOYUKI TANAKA (FPM)

9月24日(日)
シアターブルック w/河村隆一 / ACIDMAN / a flood of circle / the band apart / ComplianS+Afro Begue(佐藤タイジ、KenKen、Omar Gaindefall、津田悠佑、佐々木俊之、Naoto) / FIVE NEW OLD / FLYING KIDS / GLIM SPANKY / 吉川晃司 / 木村カエラ / LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS / NONA REEVES / Nothing’s Carved In Stone / Nulbarich / 奥田民生 Solar Session / Omoinotake / Original Love / リーガルリリー / サンボマスター / ストレイテナー / 土岐麻子 feat. 堀込泰行 / うじきつよし

チケット
<券種・料金>
2日通し入場券 15,900円
9月23日(土) 入場券 9,800円
9月24日(日) 入場券 9,800円

プレミアムキャンプ付き 2日通し入場券(場内駐車場付き) 28,900円 予定枚数終了
キャンプ付き 2日通し入場券(場内駐車場なし) 22,900円
プレミアムキャンプ券(場内駐車場付き) 13,000円 予定枚数終了
キャンプ券(場内駐車場なし) 7,000円

場外駐車場付き2日通し入場券 20,900円 予定枚数終了
場外駐車場付き9月23日(土)入場券 13,300円 予定枚数終了
場外駐車場付き9月24日(日)入場券 13,300円 予定枚数終了

場外駐車場  2日通し券 5,000円 予定枚数終了
場外駐車場  9月23日(土)券 3,500円 予定枚数終了
場外駐車場  9月24日(日)券 3,500円

各プレイガイドでチケット一般発売中
チケット詳細:http://solarbudokan.com/2023/ticket/sale/
*キャンプ券・駐車場券はイープラスのみ受付

■中津川市への「ふるさと納税」の返礼品として入場券を取り扱い
受付期間:8月11日(金) ~ 9月11日(月)
寄付金額: 2日通し入場券53,000円 / 1日入場券32,000円
受付URL(ふるさとチョイス)
・2日通し入場券
https://www.furusato-tax.jp/product/detail/21206/5875843
・1日入場券
https://www.furusato-tax.jp/product/detail/21206/5499940

■予約制有料シートサイト
詳細:http://solarbudokan.com/2023/area/sheet/
■「オープニングアクト」一般募集
http://solarbudokan.com/2023/topics/audition/
■フード出店
詳細:http://solarbudokan.com/2023/area/shop/
■Jネットレンタカー 中津川THE SOLAR BODOKANパック
詳細:http://solarbudokan.com/2023/access/rentacar/
■オフィシャルバスツアー(名古屋〜中津川)
詳細:http://solarbudokan.com/2023/access/tour/
■コラボボレーションアイテム 「NTSB2023 × Mr.CASANOVA」
詳細:http://solarbudokan.com/2023/goods/

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