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『ザ・1975』 / NME Japan 編集長がちょっと思っていること 放送後記 #01

2020.06.08

番組タイトル「NME Japan 編集長がちょっと思っていること」
「ザ・1975」のアルバムタイトルかっ!というくらい長い番組名でお届けしていきます。

NME Japan 編集長 古川琢也が日々の編集業務をやっている中で、
「ちょっと思っていること」を このLIVE LOVERSポッドキャストで語っていく番組。
毎回、ひとつのテーマを様々な視点から解説、UKの最新音楽事情から世界の音楽シーンまで掘り下げていきます。
まだ聞いてない方は下のポッドキャスト を聞いてから、放送後記を読みにきてくださいね。

パーソナリティ:NME Japan 編集長 古川琢也
アシスタント:慶応義塾大学3年生のアシスタント・スズちゃん

初回配信の今回は、通算4作目となるニュー・アルバム『仮定形に関する注釈』をリリースした、「ザ・1975」を特集しました。

ザ ・1975(ザ・ナインティーンセヴンティファイヴ)は、イギリス出身のバンド。
ボーカル・ギターのマット・ヒーリー、リード・ギターのアダム・ハン、
ベーシストのロス・マクドナルド、ドラマーのジョージ・ダニエルの4人組。

今やイギリスの若者であれば誰もが好きと言っても過言ではない「ザ・1975」。
人気もあり、批評家の評価も高いバンドですが、どのような歴史があるのでしょうか?

ザ・1975はロックバンドであるということへの批評性がめちゃくちゃ高い

彼らがデビューした2013年は、イギリスではワン・ダイレクションの人気が絶頂、
ロックバンドではアークティック・モンキーズの最高傑作と言われたアルバム「AM」がリリースされた年。
アメリカではテイラー・スイフトやロードの「Royals」がヒットしていました。

若者間でワン・ダイレクションが大人気、アークティック・モンキーズは00年代のロックの完成系といわれ、
アメリカでは複数のソングライターとプロデューサーがヒット曲を量産し、チャートを席巻した時代。

ザ・1975は〈今からどうやってロックバンドをやっていくの?〉という逆境からのスタートでした。

ファースト・アルバム「THE 1975」をリリース、収録曲の「Chocolate」が大ヒットしました。
聴いてみるとよくわかりますが、この曲は異常にポップなのです。

〈売れ線バンドで、こんな奴らロックバンドじゃない!〉
彼らのことを当時の『NME』は嫌いだったそうです、、(笑)
『NMEのベストアワード』では、彼らを”ワースト・バンド”にノミネートしていたほど。

そして、セカンド・アルバム『君が寝てる姿が好きなんだ。なぜなら君はとても美しいのにそれに全く気がついていないから。』なかなか長いタイトルですよね(笑)

このセカンドアルバムで”ポップミュージックの完成形”に行き着きます。

ロックバンドとして認めて貰う前に、
ポップミュージックを通して自分たちを認めさせなければいけなかった。
戦略的で、めちゃくちゃ批評性の高いバンドといえます。

ポップミュージックの完成形を目の当たりにした、『NME』も手のひら返し(笑)
〈ワーストバンドだなんて言って、すいませんでした!〉
それからはアルバムが出ない時でも、表紙・巻頭インタビューが組まれるようになった。

サードアルバム『ネット上の人間関係についての簡単な調査』では、
ロックバンドが好きなマット・ヒーリーがだんだん出てきます。

古川編集長曰く「このアルバムはかわいい❤️」そうです。
マット・ヒーリーのロック音楽遍歴が羅列されているようなアルバムなんですね。
批評家からの評価も高く、『NME』が選ぶ2018年のアルバム・オブ・ザ・イヤーで1位に選出されています。

この連中がこれまでに起きた最高のことだ

そして2020年、通算4作目となるニュー・アルバム『仮定形に関する注釈』がリリースされました。
彼らはこのアルバム4枚の期間を「ミュージック・フォー・カーズ」と名付け、
この4作目のアルバムのリリースとツアーで自分たちの第1期の終わりとしています。

マット・ヒーリーは俳優の両親の元に生まれ、いわゆる二世であり、普通の人よりは恵まれた環境で育っているでしょう。しかし、今までの歌詞やインタビューでは、ロックバンドとして認められなかったのを含め、いかに自分が満足できてないのかが伺えます。

そしてこのアルバムは「この連中がこれまでに起きた最高のことだ」とメンバーについて歌う「Guys」で締めくくられます。全く認められないなかバンドを始め、人気も出てロックバンドとしても認められるようになってきたなかで、ようやく第1期のゴールにたどり着いたのが今回のアルバム。

前作の評価が高かった分、各紙では評価が分かれていますね。
アメリカーナ的な楽曲や、テクノ、ブリットポップ…様々なジャンルが収められているので、
アルバムとして散漫な印象を持ってしまう人もいるかもしれません。

しかし、マット・ヒーリーが「この連中がこれまでに起きた最高のことだ」と言うのだから、満足そうで良かったじゃないかと。ちなみに、この曲には「日本に初めて行ったことは、人生で最も幸福な出来事だった」という一節もあります。嬉しいですよね。

バンドの生い立ちがわかるとニューアルバムをより一層楽しむことができますね。

そんな第1期の成熟した彼らを見れるチャンスが日本でもあります。
9月に開催予定の『SUPERSONIC 2020』でのヘッドライナーで出演予定です。
こんなご時世ですので開催されることを願いつつ、楽しみに待ちましょう!

そして番組本編ではまだまだ沢山のことを語っています。
レーベル Dirty Hitについて、サマソニで見せたマットのTシャツに込められたメッセージなどなど、、
是非、本編も聞いてくださいね!

次回の配信もお楽しみに!

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ちなみにアシスタントのスズちゃんですが、
担当Dに半ば無理やり連れてきた”洋楽をちょっと好きな女の子”です。
メディアの露出経験もゼロです(笑)
これからのスズちゃんにご期待ください!

そしてNME Japanからプレゼントもあります!
この番組を聞いてくれた人の中から抽選で2名様にNMEのオリジナルバックをプレゼントしちゃいます!
応募方法は次回の配信内で発表しますので、お楽しみに!

(text 番組D 佐藤岳大)

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